そろそろ財務省の嘘がバレてきた‐03

いまは多くの若者が奨学金という正真正銘の「借金」を背負って社会人になります。若者世代にツケを回さない筈なのに、若者は奨学金という借金を背負い、結婚できず子供も持てない生活を強いられているのです。これこそ、若者へのツケ回しです。そして今はツケを回す将来世代がそもそもいない状況になりつつあります。

また、『高齢者複数人を現役世代1人で支えることは難しいため、増税して対応するしかない』というメッセージを伝えるため、若者が複数人の高齢者を支えているイラストも頻繁に使用されます。

税と社会保障の一体改革”という言葉も同様の危機感を煽るためにメディアが積極的に使う言葉です。メディア、もとい財務省はありとあらゆる言い回し・表現方法で、『増税は仕方がない』と思い込ませようとしてきます」

増税を煽る表現のボキャブラリーの豊富さには驚かされる。しかし、これまで頻繁に使われていた「国民一人当たり数百万円の借金」といった表現はあまり見なくなった。この背景については次のように分析する。

「とはいえ、『国の借金ではなく政府の借金』という認識は徐々に広まっており、国民に返済義務がないことに気づいた人が増えたことが大きいです。とりわけコロナ禍や2023年はのインボイス制度をきっかけに従来の税の在り方に疑問を持ち、正しい貨幣観を身に着けた人は確実に増えました。

メディアを適切に機能させることは国民の役目

最後にメディアが本来あるべき役割を全うするためにはどうすればいいのか。

「メディアは炎上を特に恐れているため、『国の借金』とか『将来世代にツケを回してはいけない』といった表現を使ったときには積極的にクレームを入れることが有効策です。実際、声を上げ続けたことの結果、 “国民一人当たり数百万円の借金”という表現を見る機会は減りました。

メディアを適切に機能させることは、民主主義において国民の役目です。間違っていることにはしつこく『NO』を突きつけなければいけません。そうすれば適切な情報が流れ、景気を上向かせることにつながります」

新聞・テレビなど大手メディアの情報が、必ずしも正しいとは限らない。正しい政治経済に関する知識を身に着け、間違いを間違いと認識できるようになりたい。

取材・文/望月悠木

そろそろ財務省の嘘がバレてきた‐02

メディアの事情と謎多き財務省

「国の借金」とは正確には「政府の借金」であり、なおかつ国民が負担する必要のない借金である。にもかかわらず、なぜメディアは「政府の借金」とはいわず、ネガティブなイメージを伝えるのか。

「おそらく、“国の借金”と表記する事は財務省の指示であると推察します。実際、大手メディアはどこも国の借金と報道しています。財務省内にある記者クラブには“財政研究会”というものがあり、大手メディアの記者などはそこで財務省から色々情報を提供してもらっています。

その為、財務省の意に反した場合、記者クラブを出入禁止にされかねないため、どのメディアも財務省の顔色を気にしなければいけません。実際、産経新聞や朝日新聞は、本来右と左で正反対の立場であるにも関わらず、どちらも国の借金という言葉を使っています」

また、安藤氏は軽減税率にも大きく影響されていると考察する。

「新聞は軽減税率の対象商品ですので消費税率は8%です。ただ、財務省に反発すれば軽減税率から新聞が外されるかもしれません。

もし消費税が10%になればそれは“値上がり”になるため、買ってくれる人は減ります。軽減税率という恩恵を得るために、財務省の指示に従わざるを得ないのです」

メディアが国の借金と言い続ける背景が見えてきた。

そもそも、なぜ財務省は国の借金という扇動的な言葉を使わせようとするのか。SNSでは「財務省は増税を促進させたら出世できるから、増税策を進めやすい空気感を作るために危機感を煽っている」という指摘も見かけるが、安藤氏はその考え方には懐疑的な見方をしている。

「良心の呵責があると思いますので、自分の出世のために国民が苦しむ増税策をバンバン打ち出しているというのは正直疑問です。

私は財務省の人たちが『このままでは日本が財政破綻する』『政府の借金を放置すると危険』と本当に問題視しているのではないかと予想しています。とはいえ、日本が財政破綻する可能性が0%であることは、財務省のホームページにも記されているのですが」

「若い世代にツケを回してはいけない」という殺し文句

財務省の思惑が理解できないという安藤氏だが、「財務省は東京大学法学部出身者が多い印象です。法律関係を勉強していた人は『借りたものは返すことが当たり前』といった債権債務の考え方を持っているため、国家財政と家計をごっちゃに考えているのかもしれません」と分析する。

とはいえ財務省の狙いには謎が多く、「国の借金」という表現以外にも、国民が「増税やむなし」と思ってしまう様な表現は意外と多い。

「『将来世代にツケを回してはいけない』という表現を見聞きした人は少なくないでしょう。どうしても『将来世代』や『子供達』といった言葉を使われると情に響くものがあり、増税に対して寛容になってしまいます。

しかし、将来世代にツケを回さない為に増税を繰り返し、ムダ削減の掛け声の元に財政支出を縮小した結果、景気は冷え込み、経済的な理由から結婚・出産できない若者は増えました。

そろそろ財務省の嘘がバレてきた‐01

そもそも「国の借金」とは誰がどこから借りた金なのか。「国の借金が過去最大1286兆円超に」という報道の正しい見方 (msn.com) 2024‐2‐24

報道などでよく見聞きする「国の借金」とは、そもそもどういう借金のことなのだろうか。結論から言うと、政府が通貨を借り入れるために発行した「国債残高」のことだ。

また、借りているのは日本国ではなく日本政府であって、「正確には“政府の借金”というべき」と安藤氏は解説する。

「国債保有者、つまりは政府にお金を貸している人たちの内訳を見ると、2023年9月末では日本銀行(53.9%)が最多。次いで生損保等(18.6%)、銀行等(10.8%)といった金融機関です。

まず日本銀行は日本政府の子会社のような関係性なので返済する必要はありません。また、日本銀行は円を発行することができ、最終的には『生損保等』などが保有する国債を日本銀行が円を発行して買い取り、結局は返済不要の借金にすることもできるため何も問題ありません。

基本的には、すでに発行している国債の返済期限が来たら、政府が新たに国債を発行して返済していけばいい。国民から税で集めて返済する必要はないのです」

借金と聞くとネガティブなイメージがあるが、国家財政と家計では借金の意味合いが異なるため、別々のものとして考える必要がありそうだ。

政府の赤字はみんなの黒字

また、「海外から借金している」と勘違いしている人もいるが、国債保有者に占める「海外」(6.8%)の割合はかなり低い。

そもそも国債はすべて円で発行しており、海外から返済を求められても、円を発行して返せばいいのが、国の借金である。

もとい政府の借金に怯える心配はなく、安藤氏は「政府の赤字はみんなの黒字」であるということを忘れてはいけないと語気を強める。

「公共事業を民間企業に依頼したり、公務員の雇用を拡大したりなど、政府が国債を発行して積極的に財政出動すれば民間はそれだけ潤います。

誰かが別の誰かにお金を渡せば、渡した側は赤字になるが、貰った側は黒字になる。当たり前のことで、赤字と黒字は表裏一体なのです。政府と国民の関係も同じです。政府が赤字になれば、それだけ国民は黒字になる。

反対に、政府が黒字になれば、その分国民は赤字になる。政府は返済不能になることがない特殊な経済主体なので、国民を黒字にするためには政府が赤字になることが必要不可欠なのです。これを私は「政府の赤字はみんなの黒字」という言葉で表現しています。

特に経済が低迷している今現在においても、『国の借金が過去最高を記録』みたいにメディアが国民の不安を煽り、政府の借金に対してネガティブなイメージを抱かせ、更には『増税やむなし』という空気感を醸成させています。この現状は本気で止めなければいけません」