何故、前川氏がこれだけ安倍政権に反発的なのか?
例の獣医学部新設に、文科省として大反対していたのが、当時文科省の次官だった前川氏であった。
「獣医師問題議員連盟」には、これまで森喜朗、麻生太郎、高村正彦、鳩山邦夫という文教族がズラリと名を連ねており、そこには前川氏の義理の弟で、森内閣で文部大臣を務めた中曽根弘文参議院議員も含まれている。
当時は、大事な天下り先である獣医師会からの強い反対もあり、それを受けての文科省の反発だったが、ワーキンググループの諮問会議で、前川氏は明確な反証ができずに、そのままなし崩しに認可されてしまった。
本来なら、前川氏は歴代の事務次官のように、この動きを未然に潰さなくてはいけないのだが、官邸が岩盤規制に穴を開けるために作った「国家戦略特区」の前になす術もなかった。つまり、自分の能力の無さが露呈され、官僚トップとしての「面子」が丸つぶれになったのだ。
結局はこれで、彼が天下り先から見放された事は勿論、「天下り斡旋」もバレて処分され、その逆恨みが今の彼の行動となっている。
(文部科学事務次官であった前川喜平は、停職相当の処分発表前に辞任が認められている。退職金は2月17日付で支払われ、前川と同じ勤続条件37年で、事務次官で自己都合退職の場合の支給額は約5610万円であると報じられる。)
天下り斡旋や虚偽報告は、明らかな違法行為である事は誰も否定できない。
マスコミも野党も、最初は「天下り斡旋」の張本人として、安倍政権糾弾の材料にしていたが、前川氏が安倍政権批判(何の証拠もない妄想)を始めた途端、マスコミは一転して政権批判の英雄のような扱いをし始めた。しかし、文科省のメモ書き程度の内部文書を、公文書だと部下に流出させ、自作自演でこの騒動を大きくしたのは、前川氏である事は明白。
菅義偉官房長官が、先日、会見で言われたように、自民党文教族がガッチリガードしていた岩盤規制に、最初に勇ましく切り込んだのは、旧民主党政権である。そして、それを懸命に応援していたのが、今回、嬉々として「総理のご意向」スクープを放った朝日新聞である。
民主党本部の陳情要請対応本部に、愛媛県の民主党県連から「今治市で獣医師養成系大学を設置するための規制緩和」という要望があがってくる少し前、朝日はこんな援護射撃をしている。
「獣医師の定員を定める20都道府県のうち、12の都県で獣医師不足となっていた。北海道で51人不足し、岐阜県で18人、鹿児島県で10人、新潟県で7人足りない。薬剤師や臨床検査技師が、獣医師の仕事の一部を肩代わりしている県も複数ある」(朝日新聞2010年6月10日)
このように、今治市の「獣医学部新設」を後押ししていた朝日新聞や旧民主党の議員の要望通りに、獣医学部新設を実現した安倍政権を、正当な評価もせず逆に目の仇にして叩くというのは、側から見ていても、その節操の無さや異常とも言える稚拙さに言葉もない。
また彼は官僚時代に、国会議事堂前での共産党系のシールズの安保法制反対デモに参加している。(平和安全法制については、憲法違反であるとの考えを述べ、同法案が参議院で成立した2015年9月18日に、国会前で開かれた反対派の集会に参加していたことを明らかにした) https://www.sankei.com/premium/news/170814/prm1708140012-n1.html
政治的行為への参加は人事院規則に抵触する。
国家公務員法第102条第一項を受けて、人事院規則14-7(政治的行為)第6項は、17にも及ぶ政治的行為を規定している。
その中の、
10.政治的目的をもって、多数の人の行進その他の示威運動を企画し、組織し若しくは指導し、又はこれらの行為を援助すること
11.集会その他多数の人に接し得る場所で、又は拡声器、ラジオその他の手段を利用して、公に政治的目的を有する意見を述べること
規則を安易に破る人間の言葉や生き方が子供達の人生にプラスになるのか、教育行政に携わる人なら理解できるはずだ。
前川氏の座右の銘は、「面従腹背」だという。しかし本来、座右の銘とは「身に擱いて、深く心に刻み付けて己れの修養の典(のり)とする言葉」の事。「面従腹背」とは悪行の意味であり、座右の銘とは言い難い。
彼の書いた「面従腹背」という書籍では、既に進められている「道徳の教科化」に反対し、安倍政権では、今まで話にも上がっていない「教育勅語」の復活をでっち上げて、 安倍政権が進める教育政策全般を、徹底して糾弾している。
これだけを取っても、彼が政治的に中立公正な講演者として適切であるか、疑義が出るのは当然と言える。(終わり)