政府は、国民の生活が危機に直面しているのに、国民への給付を嫌がり、何故か株高の演出だけに熱心です。
森本卓郎氏は、「今のコロナ不況下での日経平均株価は、バブル後の最高値を更新し続けている。これは、大変に危険な状態だ」と。
一体、誰のための株の買い支えなのか?
マクロ経済学が専門の駒澤大学准教授「井上ともひろ」氏は、
「現在の市場は、株価が下がったら日銀が買い支える。投資家は投資にリスクを負わずに済み、日銀やGPIFの政府マネーは、株を持つ富裕層だけが潤う補助金のようになっている。
このように日銀から株主や企業にばら撒くくらいなら、10万円の給付金のように、国民全員に配った方が良い。
国民全体に配れば、世の中に出回るマネーストックが増えるし、富裕層より低所得層の方が、消費に回す割合が高いので、景気も良くなる」といわれました。 正論です。
経済は分かり易くいえば、需要と供給のバランスです。
日本のように優れた供給能力がある国でも、今の日本では、雇用が安定しない中で、給料は上がらない。ギリギリで生活しているから、買物も最小限。物が売れないから生産体制は縮小して、また給料が下がるという悪循環。 これをデフレスパイラルと言います。
今の日本は、デフレスパイラルの真っただ中です(図3↓)
図3: 一年を4半期に分け、2013年後期~2020年中期までの、全産業の従業員の給与総額(棒線)と、対前年同期(折れ線)を比較。
給与は2018年後期をピークに、消費税10%とコロナの影響で、著しい減少傾向にあります。
経済指標で最も分かり易いのはGDPの推移です。 日本のGDPは輸出入が35%で65%は民需、つまり、民間の購買力が日本経済を支えている訳です。
それなのに、このデフレの時期に、消費行動を押さえる消費税を上げたのか。 消費税は、徹底的に低所得者を苦しめる間接税です。
ですから、先進国で唯一GDPが伸びていないのが日本。
アメリカは、日本では考えられない程、多額の政府借金をして、この 10年でGDPを2倍以上に、中国は15倍にしました。
この結果、中国は超インフレになりましたが【笑】
(図5: 1970年~2020年の長期債務残高と、1970年を1とした物価指数)
図5のように、1970年の債務残高は7.3兆円でした。それが2018年には1100兆円を超えて、約152倍になりました。
財務省が言うPBは滅茶滅茶ですが、全く財政破綻していませんし、物価もバブル以降は、非常に安定しています。
1887年には、政府の借金は2億円程でしたが、今やそれが1000兆円を超えている。130年程で政府の借金は500万倍なりましたが、いつ、日本は財政破綻しましたか?
いい加減、財務省が指導するPB(プライマリーバランス)が、日本の財政難の諸悪の根源だと気付いて頂きたい。
政府は借金でGDPを拡大しないと、国民が豊かになれない事を。(続く)