ゴミの有料化について

今年の3月議会に、全員協議会という賛否や議決を伴わない行政の説明の場で、有料化について質疑を行いました。

そして、この9月議会で、議案第76号「廿日市市廃棄物の減量の推進及び適正処理並びに生活環境の清潔保持に関する条例の一部を改正する条例」を審議、討論した上で、賛成多数で可決しました。

審議内容は、「ゴミ処理費用の負担の公平を図る目的で、家庭系廃棄物のうち、燃やせるゴミの処分をする場合に徴収する手数料を、4種のゴミ袋を購入する代金で措置すること」です。

条例では、新たなゴミ袋は、10㍑袋10円・20㍑袋20円などで、1㍑当たり1円の市民負担となると記載され、ゴミ量は基本的に重さで計算しますから、45㍑袋で概略4㎏入るものという説明がありました。

この条例が可決されなくては、平成31年度からの、具体的で詳細な地域説明会が開けませんから、私は賛成させて頂きました。

新たなゴミ処理施設の稼働後、廿日市市のゴミ処理費用は約12億円となる見込みです。家庭ゴミのうち約8割を占める燃えるゴミの処理費用は、約10憶円。

今回の有料化では、年間1億7千万円の収入見込みですが、そのうち6千万円は新しいゴミ袋の購入費用ですから、市民の実質負担額は、ゴミ処理費用全体の約1割である1億1千万円となります。

その収益は、不法投棄対策、高齢者や障害者のゴミ出し援助、ゴミ収集ボックスや散乱防止ネットの購入補助、環境美化活動の報奨金などに使われます。

全国では3月現在、1105の市区町村(63.5%)がゴミの有料化を実施していますが、介護などで紙おむつを常時使用する世帯や、経済的に困窮している世帯には減額などの免除制度があります。

廿日市市は、平成31年度に地域説明会を終え、合意が整えば、平成32年度から「燃えるゴミの有料化」が実施されます。

県内13市町中、呉市・大竹市・東広島市などは廿日市市と同じ料金設定で、最も高いのは世羅町の45㍑袋一枚150円、最も安いのは三次市の30㍑袋一枚で22円です。

お隣の広島市は有料化ではなく、平成11年頃よりゴミのゼロエミッション(廃棄物をゼロにする)計画を策定して頑張っておられるのですが、処理費は年130憶円を超えており、毎年増える一方。当初計画ほど成果は上がっていないようで、ゼロエミッションも見直しが図られたようです。他市の事ですから余計なお世話でしょうが、広島市も可燃ごみの有料化の検討を間もなく始められると思っています。

しかし、政令指定都市ですからゴミ量も経費も半端でなく、燃えるゴミの比率も家庭ゴミ全体の65%程ですから、他市の事例では推し量れないような問題も起こるでしょう。大体、共産党より酷い極左の市長が長年権力を握っていた政令市ですから、市民意識も廿日市市とは段違いだと思います。

このゴミ有料化を法的に見ると、解釈次第では「地方自治法に抵触する。税金の二重取りではないか」との議論に発展しかねません。

「地方自治法第227条 普通地方公共団体は、当該普通地方団体の事務で特定の者のためにするものにつき、手数料を徴収する事が出来る」という箇所です。

有料化に反対する人達は「特定の者のためにする事務」に該当しないとし、賛成する人達は、該当するという主張になります。

ここで、議論を難しくしたのが「廃棄物処理法第6条の2第6項」。

この内容は「市町村が行う一般廃棄物の収集、運搬及び処分に関し、手数料を徴収できる」としていたもの。それを環境省が、平成11年に地方分権一括法が出来たので「ゴミ処理も、地方自治法の手数料に吸収されたと解釈できる」として削除した事に起因する訳です。 全く、現場を知らない小役人など、いない方がよっぽどマシですな。

しかし、ゴミ有料化反対側の主張は、「ゴミ処理は市町村の義務であり、行政の必要のために行われている事務である」というもの。

賛成側は、「ゴミ処理は、市町村の利益や必要性のためにのみ行う事務ではなく、ゴミ処理を必要とする住民自身の利益の為に行う役務の提供であり、特定の者のためにする事務に該当する」として、「廃棄物処理法は住民にゴミ減量の責務を課しており、ゴミ有料化は、ゴミ減量を図ることにあり、住民に負担を求める事は妥当である」という主張。

私は、賛成側の考えに賛同したから、今回のゴミ有料化に賛成したのです。

まさにここが、こなさんの言われる >税金という形で金を集めて、公共に役立つ部分の「国家建設」をする。その基本中の基本が、多くの人の頭に定着していないことが、残念です。・・・という処になります。

ゴミ処理は、「行政の必要のために行われている事務」等ではなく、「ゴミ処理を必要とする住民自身の利益の為に行う役務の提供」なのですから。

しかし、一定の反対する住民に対しては、有料化の目的を明確にし、手数料の使途を透明化した上で、不法投棄の監視、ゴミ発生の抑制やリサイクルの推進などの施策を積極的に打出して、根気強く丁寧な説明により理解を得ることが重要だと思います。

 

 

ゴミの有料化について” への2件のコメント

  1. こなです

    断片的なレスで申し分かりませんが,私は東広島市民ですが,既にゴミの有料化が行われております.

    「ゴミをたくさん出すと,その分手間賃が増える・・・」

    この,当たり前のことが,最早すっかり常識として定着しております.個人の感覚としても,明らかにゴミ削減にもつながりますし,とってもいい感じですよ.文句を言っている人は私の周りには見当たりません.

    ちょっとでも仕事をしている人なら知っていると思いますが,これまでも(家庭ごみじゃない)産業ゴミは有料でした.まあ,少し考えたら,ゴミを捨てるのにも何らかの経費が掛かることは当たり前のこと.ですから,ゴミ袋有料化はまさしく受益者負担のシステムとして「より公平性が高い」ものです.

    「ゴミなんて価値のないものだから,そんなものに金を払うのは嫌だ・・・」という方が,むしろ幻想なのですよね.

  2. 一見違うようで,実は同じだという問題が,大学でもよく起こります.それは,学生諸君の「教材費出し渋り問題」です.

    大学も昔よりずいぶんと貧乏になって,それはまあ仕方がないとして,学生諸君に何らかの実習をするにあたって,材料代が捻出できない事態が生じております.

    つまり,材料代を学生君に請求することになる.すると,文句を言いだす学生がいるのですね.高ーい授業料を払ってやっているのに,なんでその材料をタダでよこさないんだ! ってわけです.

    もちろん,こちらだって,むげに高い教材を売りつけてやろうってわけじゃありません.でも,ネジ一本でさえ,最近の学生は私費で買うのをためらいますね.

    テスターやノギスくらいは自分で持っておいた方がいいといっても,それを自分から買う学生はほとんどいません.これらは,材料でもない,恒久的に使える道具類です.私も,中学校時代に買ったものを今でも当たり前に使っているのですが.

    でも,こういうものを買うのは「無駄遣い」だそうです.君らは,こんなものまでスマホのフリーのアプリに入っているとでも思っているのだろうなって,嫌みの一言も言いたくなります.むろん,そうは言いません.

    私は単純にこう言います.

    「こちらが必要というものを買いたくないのなら,かわなくてもいいよ.でも,そうすることで君はこの授業で何かを学ぶチャンスを失うだけだ」

    でも,この辺りでも,大体の学生は不満のまなざしを向けながら黙ったままですね.

    じゃあ・・・,ということで,最後にこう言います.

    「じゃあ,そのノートもシャーペンも,こっちが買ってやらないといけんのか.消しゴムを買ってやらなかったから,字が消せませんとか・・・ね」

    これで,渋々彼らは材料代を出すのです.全く情けない話ですが,いかにも今どきの思想を代表している行動だと,正直感じております.

    ざーんねん!