8月20日は、東京で第20回都市経営セミナー「モビリティ政策による持続可能なまちづくり」の研修を受けてきました。
【2013年の「交通政策基本法」の施行を始めとする近年の法改正により、地方自治体は、より主体的に公共交通の再生に取組むことが求められるようになったのです。 超高齢化・人口減少が進み、公共交通機関の経営環境が厳しくなる中、人の移動を総合的に捉えて、モビリティ政策として取り組むことは、コンパクトシティへの転換のための土地の利用誘導をはじめ、環境・経済・財政など、様々な政策分野に波及して、持続可能なまちづくりに寄与すると思います。
この研修では、LRT(次世代型路面電車システム)などの基幹的な公共交通機関の整備を中心に、地域の交通体系を変える、総合的なモビリティ政策に取り組んでいる事例を取り上げ、効果や課題などについて討議するものです。】 という前文です。この段階で「しまった!先に案内に書いといてくれよ。LRTなら廿日市市は先進地だぞ。今日の研修はダメかな」と思いました。
全国的に「コンパクトシティ」=「立地適正化計画」の動きは活発になっていますが、政府は、年ごとに増え続ける地方自治体の福祉予算などに脅威を感じながら、それでも年々地方に配るお金を事務的に減らし続ける、「血も涙の無い財務省」 の、恣意的な圧力が感じられる政策でもあります。
そもそも、「立地適正化計画」って何?
「人口減少と高齢化で益々疲弊する地方自治体は、行政区域をコンパクトにすることで介護・医療の効率化を図り、福祉予算等を削減して、まちづくりに頑張りなさい」・・・という計画。
早い話が、「高齢者は、生活を維持できない田舎を捨てて、便利な街へ出ておいで。 そうすれば、福祉政策も効率的になるし、地域医療もかなりコンパクトにできる」 からですと。
随分一方的な地方への押し付けで、さすが、現場を知らない官僚たちの考えそうな事だと思うわけです。
15年~20年前には、合併特例債という餌を鼻先にぶら下げて、経費ばかり掛かって財政力の小さな自治体を、大きな自治体に無理やり合併させた上に、今度は、過疎地・辺地の人々を銭食い虫のように扱って、住む地域をも限定しようとする。
地方議員としては、「お前らいい加減にしろ!」と叫びたいところです。まあ、それ以前に、地方の高齢者の立場を全く考えていない計画など、実現できる訳がない。
我が市も、国から貰う予算(廿日市市は1200万円程)で、全国大手のコンサルが作った計画書を、そのまま議会で発表して、市のお仕事はお終い。
国がどれほど旗を振っても、地方は「立地適正化計画」なんて出来る訳がないと思っているし、先祖伝来の土地や田んぼを捨てて、知り合いも居ない都会へ喜んで移住すると思う方がどうかしています。
青森市の失敗を知らない訳でもあるまいに・・・
(注 : 豪雪処理経費、福祉予算などの削減の為、青森市駅前の市有地に大型マンションを数個建設し、青森市近郊の住宅団地や過疎地の住民を移住させた。計画当初は確かに経費削減の数値が出たが、5~6年経過して、移住した多くの人々に痴呆が発症。結局、前より福祉予算が増大する結果となった。)
・・・という事で登場するのが、「モビリティ政策」。
『「立地適正化計画」なんて最初から出来る訳ないので、各自治体で、安くて便利な自主運行バスを計画して、人口減少に悩む地域を救おう』と、決意したかどうかまでは不明ですが、この政策なら実現出来そうです。
そこで私は、今年の3月議会で「立地適正化計画について」一般質問をしました。(いくら性格の悪い私でも、出来るだけ良い回答を頂くために、議会前に読み上げの原稿を渡しています。余り効果はありませんが)
「実現できますかね?」と問うと、「地方存続の為には、実現しなくてはならない」と、最初は優等生回答がありました。
そこで次に、「2020年の東京オリンピックでは、「レベル3」の自動運転タクシーが走るようですがご存知ですか?」。たたみ掛けて「ラスベガスでは、運転手の居ない「レベル4」のタクシーが既に走っているのをご存知か?」と。
(「レベル4」からは運転手が不要ですが、一般市民が公道を走れる車は市販されていません。しかし、鉱山などでの大型無人ダンプ、無人の軍事車両など、特殊な環境では、既に実用化されています。)
「他国に比べて、少子高齢社会への対応を急がなくてはならない日本にとって、完全自動運転「レベル5」の車は、必要不可欠なものとなる。公共交通機能が脆弱な地方では、車が無いと、憲法で保障されている最低限の生活さえ維持できない状況だから。 今後15年くらいは、「レベル0(今走っている自動停止機能も無い車)」の車との共存が必要でしょうが、公道での走行は運転者の責任という国際条約と国内法を整備すれば、免許証返納どころか、運転免許も不要な時代が来る。 高齢者でも誰でもが、好きな時に、どこにでも行ける未来が、もうそこに見えている。 その時には、この「立地適正化計画」は完全な見直しとなるが、どう思われるか?」
この問いについては、「全く想定していません」との回答。
「どんな田舎道でも、舗装され2車線化されて両側に白線さえあれば、自動運転車両は使用可能です。車を地域シェア(地域共有の車)すれば、☎1本で自宅まで無人の車が迎えに来る。そして、車に話しかければ、病院でも買物でも好きな所へ運んでくれる。携帯電話さえあれば、何時でも好きな時間に車を利用する事が出来る。免許証が無い人達でも。しかし、この無人車両の運行は、どの国でも必ず大きな障害に出会います。その最も大きな障害とは、行政と議会だそうです。如何ですか?」
議場内の様子を、是非インターネットでご覧ください。 笑えます。
しかし……かわいいですね……!